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ダンジョン迷子のリトルちゃん 一、冒険者たち - 1

洞窟の中を今、二人は逃げている。

彼らの後ろには大きな岩が転がり迫っていた。

「だから言ったじゃないかトルーデ!絶対罠だって!」

冒険者シュウナは一つ上の姉トルーデの背中に向かって叫ぶ。

先を走りながらトルーデは弟のシュウナに答えた。

「そういう事は生き残ってから言ってちょうだい!」

途中転がり、頭をぶつけながら二人は全力疾走だ。

何故、二人の冒険者が絶体絶命のピンチに陥っているのか?

その説明の為、二日ほど時をさかのぼろう。

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冒険者たち 1

マルマリ村から少し離れた丘のてっぺんにシンボルの大きなクスノキがある。

クスノキの横には小さなログハウスが建っている。

ログハウスの中ではブラウンでちょっとカールした髪の毛をいじりながら

少女がマグカップでお茶を飲んでいた。

少女の名はトルーデ。

お日様はすっかり昇っているが彼女はあくびを一つ、

そして良く回るくりくりした真っ黒な瞳に涙を一粒。お茶は目覚ましだろう。

マグカップを置いた頑丈そうな木のテーブルに、これまた頑丈そうなイス。

イスには剣が一振りたてかけてある。

女の子には不似合いな武器だがトルーデにとっては体の一部のようなものだ。

お寝坊さんだが毎日一通り剣技の型を練習する。

剣士だが今はブラウスと皮のパンツでハーフブーツという軽装で

ゆっくりティータイムを楽しんでいるようだ。

飲みかけのお茶をテーブルに置いて剣を持って立ち上がった。

無駄のない動きで戸棚の方へいく。お腹がすいたのか食べ物を探し始めた。

その時、ノックもなしにドアが開いた。少年が入ってくる。

「トルーデ、やっと起きたのか。」

女の子と同じくブラウンの髪、小麦色の肌、白い木綿のシャツに厚手のズボン、

ブーツを履いている。

手には野草が入ったかごを持っていた。トルーデの一つ下の弟、シュウナだ。

どうやら近くの森で食べられそうな野草やキノコなどを探してきたようだ。

持ち物と言えば小さなザックと腰にはムチを下げている。

「おはよう、シュウナ。」

また、あくび一つトルーデはごあいさつ。

どうやら、お寝坊さんの姉に比べて弟君は早起きなようだ。

「シュウナ、また野草なの?肉は無いの?肉は。」

姉の言葉にシュウナは一つため息。

「罠にはかかってなかったよ。そんなに食べたけりゃ自分でとっておいでよ。」

諭すように姉に言う。こうなるとどっちが年上だかわからなくなる。

弟に言われても気にする風もなくトルーデは頭をポリポリかいている。

ブラウンの髪の毛が揺れた。

「あーあ、最近、用心棒とか賞金稼ぎとか無いからなぁ。」

トルーデの言葉の通りこの姉弟の生業は主に近所を通る旅人や商人の用心棒などである。

場合によっては永い間、家を留守にして冒険に出ることもある。

ブラウンの前髪を手でかき上げてシュウナは小さくなったかまどの火に

わらなど燃えるものを追加し始めた。

「ぼやいていないで食事の支度手伝えよ、トルーデ。」

「はいはい。」

「返事は一度!」

「はーい。」

いつものやり取りの後、ささやかな姉弟の昼食の支度が始まった。

テーブルにパンの残りと野草のスープ、グリーンティが並んで二人が着席しようとした。

その時、急に窓ガラスをコツコツと叩く音がした。

トルーデが剣を自分に引き寄せた。

それを見てシュウナも身構える。

音の正体は白いフクロウだった。羽ばたきながらクチバシで窓を突いていた。

シュウナはブラウンの瞳でフクロウを見つめる。

「使い魔だね。」

彼自身魔法使いではないが魔道具や魔石を使いこなすし魔法に対する知識もある。

使い魔とは魔法使いが自分の為に使役する魔力をもった召使だ。

お使い、戦闘補助、情報収集など使い魔の種類によって用途は様々だ。

「中に入れても良さそうだけどどう思う?シュウナ。」

危険はなさそうだと判断したが魔法については弟の意見は聞いた方がいい。

トルーデは一応聞いてみた。

シュウナはうなずくとフクロウに近づいた。

窓を開ける。すぐにフクロウが入ってきた。

「ホーホー、大変だよ、大変だよ。」

部屋中を飛び回りながらフクロウは人の言葉で言った。

つづく

次回予告

用心棒の姉弟、二人のところへやって来た、人の言葉を話す謎のフクロウ。

フクロウによれば、どうやらどこかの国が大変な事になってるらしい。

いったい何が大変なのか?

二人の新しい冒険が始まる。

次回 冒険者たち 2

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乞うご期待!

  • この記事を書いた人

むにゅひこ

主に釣りと登山をこよなく愛する雑談好きなおじさんです。

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