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ダンジョン迷子のリトルちゃん二、わな 罠 ワナ - 3

前回のお話はこちら↓

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わな 罠 ワナ - 3

ゆっくりと辺りを見回しながら石ころだらけの通路を進んでいく

トルーデとその肩に乗るグリーンちゃん。

二人はしばらく黙って歩いていたがグリーンちゃんが声を出した。

「足あと・・・消えてる・・・。」

トルーデは怪訝な顔をした。

足跡が消えているということは

・グリーンちゃんが足跡を見失っただけ

・ここから先、迷子のリトルリル達は歩いていない

ということだ。

「間違いない?グリーンちゃん。」

トルーデは肩に乗ったグリーンちゃんの頭をなでながら訊く。

小さく肩で頷くのがわかる。

ここから先歩いていないならなんだというのか?

考えながら歩いていると

 カチッ

地面を踏んだと同時に何かが鳴った。

すぐに何かが二人の上に降って来た。

無意識にトルーデは剣を鞘走らせ頭上を斬る!

網が空中で真っ二つに斬られた。

進行方向から鐘の音が聞こえる。

恐らく獲物が罠にかかって捕らえられた合図だろう。

遠くから聞こえる足音は獲物を捕獲しにこちらへ向かっている何者かのものだ。

複数いる。グリーンちゃんもそれを感じ取って震えながら言った。

「いち・・・に・・・さん・・・いっぱい」

まあ、三人以上はいるということだな。

トルーデは彼女らしく簡単に思った。

罠を仕掛けるくらいだからまあ、人っぽいモノだろう。

近づくうちに方向と人数がわかって来た。

後ろから二人、前から・・・五人くらい?

こちらはトルーデ一人、いつもならばシュウナが後ろを守ってくれるが・・・

今回はグリーンちゃんを守りながら戦う事になる。

考えていると前後の何かはほぼ同時に到着した。

後方から弓なりがした。振り向いたその時、

「しーるど・・・」

グリーンちゃんの小さな声と共に風が吹いた。

風が矢の行く先を変えて矢を地面に落とす。

シュウナの魔道具で使うシールドと違いグリーンちゃんは風系統のシールド魔法を使うらしい。

「ありがとう、後ろよろしく!でやぁぁぁぁぁぁ!」

前方の五人に向かって斬りかかった。

一瞬の跳躍で敵の間合いに入りながら相手がゴブリンだと気づいた。

一人を袈裟切りに、返す剣をもう一人の胴に叩き込む。

あっという間に二人倒れた。

なんとか反撃しようと棍棒を振りかざしたゴブリンの顔面に

小さな投げナイフを叩き込みつつ逃げるゴブリンの背中を斬りつける。

五人の内一人が通路の奥へ逃げたのを確認するやいなや

棍棒を片手に顔面を抑えているゴブリンの首を薙いで斬り飛ばした。

血をまき散らし、胴と頭が離れたゴブリンは倒れた。

もと来た通路側のゴブリンはというと・・・。

何か喚きながら逃げていくのが見える。

一瞬シュウナの事が頭によぎったがトルーデは彼らを追うことをせず剣を鞘に納めた。

(この二人のゴブリンが後でシュウナを襲う事になる。結果は前述の通りだ)

息を整えてトルーデは一応ゴブリンたちの死骸の持ち物を調べた。

ほとんどのゴブリンはロクなものを持っていない。

果たしてこれはごみなのか何なのか?

というレベルのものばかり。

「あ、鍵だ。」

トルーデはゴブリンの一人から所々青緑色になった鉄の小さなカギを見つけた。

気持ち悪いけど一応持って行く事にして腰のポーチに押し込む。

押し込みながら考えた。

もしかしたらリトルリルはさっきのように網で捕らえられてゴブリンに捕まっているのかもしれない。

それなら足跡が無くなった事も理解できる。だとしたら・・・。

「グリーンちゃん、急ごう。時間がないかも。」

肩につかまってグリーンちゃんはうなずいた。

基本的にゴブリンは何でも食べる。

がよほど飢えていないと同じ人型は食べない。

ただ、ほんとに空腹なら話は別だ。

ましてや迷子のリトルリルはこの肩のりサイズのグリーンちゃんよりさらに小さい。

人と認識するか、小動物と認識するかは微妙なところだ。

駆け出そうとしてふっと足を止めた。

「トルーデ、頼むから慎重に行ってくれよ。」

どこからかシュウナの声が聞こえたような気がした。

はやる気持ちを抑えながらトルーデにしては珍しく慎重に進んでいった。

慎重に進んだのは正解だった。

さっきの戦いで、いつもならいたずら好きなグリーンちゃんも慎重になってくれたのも幸いして

罠をいくつもかいくぐることができた。

パターンがわかってくる。

路上の不自然な小石はさっきの罠と同じくスイッチで、毒ガスが飛び出てきた時は慌てて飛びのいた。

作動はしていないが他にも矢、小石、網などが襲ってくるのだろう。

進んでいくうちに通路はコケが無くなり真っ暗になった。

だが、グリーンちゃんが暗闇でも見える目で危険を教えてくれた。

いくつも蜘蛛の糸のような透明な線が張ってあり触れると矢が飛び出してくる。

誤って触れてしまい自分の目の前を矢がかすめ飛んでいくのをトルーデは感じた。

何度も冷や汗をかきながら進んでいくと、さっきと同じぼんやり明るい通路に出た。

通路はまだ奥へ続いていく。

普通ならここで休憩をとるところだがさっきの悪い予感が頭から消えない。

「グリーンちゃん大丈夫?このままもう少し行くよ。」

肩に乗った小さな友達の頭を撫でてやる。

グリーンちゃんは小さくうなずいた。

トルーデはふと気が付いた。

冒険の途中で自分は初めて弟と離れ離れになった事に。

次回予告

ゴブリン達を倒し洞窟をさらに先へ進むトルーデ達

同じころ、別行動をしているシュウナは迷子のリトルちゃんの一人を見つける。

しかし、迷子にリトルちゃんのいた場所はかなり厄介な場所だった。

失敗は許されない!

シュウナは首尾よくリトルちゃんを保護できるのか!?

次回、魔物たちの棲み処1 

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乞うご期待!

  • この記事を書いた人

むにゅひこ

主に釣りと登山をこよなく愛する雑談好きなおじさんです。

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