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ダンジョン迷子のリトルちゃん 一、冒険者たち - 4

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冒険者たち

マザーはそんな姉弟たちに微笑むと改めて依頼内容を話して聞かせてくれた。

このリトルリルラントでは一人前になるとグリーンリトルのように色が決まり

それに伴い能力も仕事も決まる。

まだ、色のついていない真っ白なとんがり帽子にワンピースのリトルリルは半人前だ。

その半人前のリトルリル数人がいたずらで空飛ぶボードで遊んでいたら

そのまま外の世界へ飛び出してしまった。

すぐに白フクロウたちが探してまわったがフクロウの内、一匹がボードが落ちているのを見つけた。

場所は「嘆きの森」の北にある「帰らずの洞窟」の入り口

トルーデが口を挟んだ

「このグリーンちゃんといい、その半人前のちびっこリトルちゃんといい

勝手に外にですぎ。あんた達の管理どうなってるわけ?」

言い終わらないうちにマザーの瞳がキラリと光った。

凄いような微笑みを浮かべている。

マザーは明らかに気分を害していた。

冒険者の姉弟はさっきフクロウがどうなったかを思い出した。

ヤバイ、やられる・・・。

姉弟がそう感じたその時、かわいい声がした。

「リトル・・・リル・・・は好奇心・・・いっぱい・・・。」

グリーンリトルちゃんがトルーデにほおずりしながら言った。

「へー、人間の言葉話せるんだ。」

シュウナが感心している。

「すこし・・・だから・・・リトル・・・リルと人・・・の通訳・・・できる・・・。」

そこまで言うとグリーンちゃんはしがみついていたトルーデの肩に顔をうずめる。

その様子を見てマザーはまた、話を続けた。

帰らずの洞窟はリトルリル達にも謎が多い。

古代の魔物が眠っているとか。

偉大なる力を持った魔法使いが今も支配しているとか。

たくさんの財宝が洞窟の奥に隠されているとか。

そして、恐ろしい罠や手ごわい魔物たちがいて冒険者たちを襲うという。

説明を聞きながらシュウナは頷いている。彼の頭は冒険へのリスクを考えていた。

確かに今まで噂では聞いていた。

帰らずの洞窟には今までの自分たちの仕事とは関係が無かったし、

その通り道である嘆きの森を通過するリスクを考えると興味もわかなかった。

彼としては行って見たいという気持ちもある。だが、リスクを考えると・・・。

興味だけで行くような場所ではないし・・・。

しかし、その思考は横にいる姉の言葉で断ち切られた。

「おもしろいじゃない!」

トルーデはいつもコレだ。なんでも気分で物事を決めてしまう。

自然、仕事を引き受けるかどうかなどをまじめに考えるのはシュウナの役目になるのだが・・・。

シュウナはマザーに尋ねた。

「つまり、迷子のリトルリルを探し出してここに連れて帰るのが僕たちの仕事ですね?」

 マザーはうなづいた。

「で?報酬は?」

トルーデがシュウナとマザーの間に割って入りそして訊いた。

シュウナがさらに割って入る。

「迷子のリトルリルは何人ですか?」

重要な話だ。

マザーが答える。

「迷子のリトルリルは全部で六人です。

 その子達を探すための食料やその他資材はそちらのお望みどおりに提供しましょう。

 そして、洞窟内であなた方が手に入れた財宝などは

 全てあなた方の好きになさってください。

 あと、成功した暁にはこのリトルリルラントの中でお望みのものを差し上げるか、

 お望みの価を金貨でお支払いします。いかがでしょうか?」

「その話、のった!」というトルーデと

「ちょっと待った!」というシュウナの声。

同時に部屋の中に響いた。

二人はマザーに背を向けてひそひそと相談を始めた。

「なによ、シュウナ。怖気づいたの?」

「今の話聞いていたか、トルーデ。マザーの話は気前よく聞こえるけど、

 実際には何も約束していないよ。この国の中で望みのものとか良くわからないし、

 金貨だってちゃんとした枚数を言われた訳じゃない。」

「だいじょうぶよ。見たところこの国お金持ってそうだし、いい物もあるって。」

取り引きなど面倒くさい話が苦手なトルーデは軽く言い放った。

実はトルーデは早く冒険に出たくてうずうずしていたのだ。

帰らずの洞窟?上等じゃない?必ず生き残って帰ってきてみせる。

そんなことを思っていると肩でグリーンちゃんの声がした。

「大丈夫・・・。リトルリルランド・・・いいものいっぱい。」

この言葉にどうだ!とばかりトルーデは弟を見た。

シュウナはため息交じりに言った。

「せめて、具体的な金額だけでも決めておかないと話にならないよ。」

そして、くるりとマザーに向き直りシュウナは条件をマザーに出した。

・リトルリル捜索の為に五日分の食料と日用品の提供。

・成功報酬は金貨二百枚。

・成功後この国の物から一つトルーデに望みの物をもらう。

・洞窟の入り口まではフクロウに送ってもらう。

 シュウナとしては金貨二百枚はふっかけた方だったがマザーは意外にあっさりと言った。

「いいでしょう。全ては望みのままにいたします。あと、ガイドを一人つけましょう。

 そこにいるグリーンリトルをお連れなさい。」

「ピーッ」

マザーの言葉を聞き終えるやグリーンちゃんが喜びの声を上げた。

「六人全員を見つけ出して連れて来てください。お願いします。」

マザーはそういうとゆっくりと頭を下げた。

準備をゆっくりとして明日の朝出発となった。

 そして・・・。

次回予告

リトルリルランドの女王、リトルリルマザーの二人への依頼は帰らずの洞窟へ行き

迷子になった6人のリトルリルを無事に連れて帰ること。

迷子のリトルちゃんを探すトルーデとシュウナはこの洞窟で

どのような危険に出会うのでしょうか?

果たして6人のリトルリルはみんな無事なのでしょうか?

ついに次回から新章突入!さらにダンジョンにも突入!

次回 わな、罠、ワナ 1

https://yumuya-brog.com/dannjyyonnmaigonoritorutyannwanawanawana1

乞うご期待!

  • この記事を書いた人

むにゅひこ

主に釣りと登山をこよなく愛する雑談好きなおじさんです。

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