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わな 罠 ワナ - 2
弓矢の風を切る音が聞こえた。
間一髪かわすとシュウナは投げナイフで応戦した。
相手はどうやらゴブリン二匹らしい。そのうち一匹をナイフで倒した。
ゴブリンとは洞窟などを住みかとしている人型の魔物で背は低く肌は緑色でイボだらけである。
人間程では無いにせよ自分たちで武装するくらい知性はあり性格は残忍で強欲だ。
冒険者達を不意に襲い命と金目の物を奪う。
今回もシュウナを襲い持ち物や食料を奪うつもりだったようだ。
残ったゴブリンは剣を振り回しシュウナに襲いかかってくる。
体ごとかわして場所を入れ替わる。また斬りかかって来る。また、入れ替わる。
ゴブリンとシュウナはしばらく格闘しながらぐるぐる回りもつれあいながら勢い余って転んだ。
「しまった・・・。」
シュウナがつぶやいた。
二人が転んだ場所が悪い!
部屋の入り口から入り込んだ石像の前だった。そして・・・。
部屋の上から隕石のように火球が落下してくる。
それは天井からではなく石像の口から放たれるものだった。
シュウナは咄嗟に思い出した。
「道なき道を行け」
そうだ、道なき道・・・。道ではないところ。
「えーい、こうなりゃヤケだ!」
シュウナは右側の奈落に飛び込んだ。
どうなるかわからない。
まず、焼け死ぬことから逃れよう。
見ると哀れなゴブリンはこれでもかというほど火球に打ちのめされ焼かれている。
もちろんこちらにも熱風がくる。
巻き添えを食わないようにシュウナは自分が今身に着けている魔道具、
シールドマントで防いだ。そのまま吹っ飛んで着地した。
「どこに・・・?」
着地したんだろう?と言いたかったのだが言葉が出ない。
なんと!壁に立っている。
この部屋の壁には重力魔法が施されていたのだ。
道なき道へ活路を見出したものだけがこの部屋を通れるのだ。
その事に気づいたが感心している場合ではない。
炎と熱風はまだ収まっていない。
「アチチチチ!」
おかしな状況だがシュウナは壁を全速力で走った!
もたもたしていたら黒焦げになる。
石像の背後に出口が見える。
壁にどこまで重力が効いているか分からない。
シュウナは入り口に飛び込んだ。
重力が元の方向に戻る。着地に失敗して背中を打った。
「イテテテテテ・・・」
背中をさすりながら部屋の方を見る。
地獄が出現しているかのように部屋の中は炎が渦巻いている。
その光景を見てシュウナは冷や汗をかいた。
「こんな罠がまだいくつあるんだ・・・。」
彼は一つ上の姉の事を想わずにいられない。
「トルーデ、頼むから慎重に行ってくれよ。」
気持ちを切り替えてシュウナは奥へと進んでいった。
シュウナが石像の部屋に入る方法を考える少し前に時を遡る。
ゆっくりと辺りを見回しながら石ころだらけの通路を進んでいく
トルーデとその肩に乗るグリーンちゃん。
二人はしばらく黙って歩いていたがグリーンちゃんが声を出した。
「足あと・・・消えてる・・・。」
トルーデは怪訝な顔をした。
次回予告
怪しい石像の間で謎を解き無事に通り抜けたシュウナ。
シュウナと別行動をしているトルーデとグリーンちゃんの探索に障害が・・・。
自分の仲間たちの足跡が途絶えた事に不安を覚えるグリーンちゃん。
これからどうするか考える二人にワナとゴブリンが襲いかかる。
少女剣士トルーデはグリーンちゃんを守りながら戦う事になるが・・・。
次回、わな、罠、ワナ3
乞うご期待!