ボクは今朝、旅に出た。
といっても電車もバスも使わない。
相棒のママチャリに乗って。
行く先は漠然としている。
自分の新しい居場所を求める旅。
ママチャリで行ける範囲内を行動するだけ。
でも、今日のそれは間違いなくボクにとっては旅だ。
サードプレイス(Third place)
第三の居場所を求める心の旅なのだ。
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サードプレイスを求めて
サードプレイス(Third place)という言葉がある。
自宅がファーストプレイス、会社や学校がセカンドプレイス。
サードプレイスとは自宅、会社、学校とは違う第三の居場所のことだという。
第三の居場所は家庭とも会社や学校という社会とも離れた自分の居場所のこと。
ボクにとってのサードプレイスとは家庭や社会からは無縁となれる空間。
第一、第二の場所での問題から離れて自分時間を満喫できるところ。
それがサードプレイス。
休日の朝、ボクは第三の居場所を探しに行こうと決めた。
サードプレイスを意識したきっかけ
サードプレイスを探しに行こうと思ったきっかけは帰り道のカフェだった。
その日は朝一番で映画を観た。
お昼前にとある有名チェーンのカフェに立ちよった。
アイスコーヒーを飲みながら原稿を書いていた。
意外に筆が進んで、あとは家で清書するだけとなる。
ここで初めて、近くの席に座るマダムたちの会話がボクに飛び込んできた。
自分の子どもが塾でマジメに勉強しない。
そんな会話をしている。
ボクは執筆に集中し過ぎて彼女たちの会話がまったく気にならなかったらしい。
ひと段落した時に初めて彼女たちの会話が言語としてボクの中に飛び込んできたのだ。
街の喧騒、周りの人たちの会話、などなど。
それらが全部BGMになってジャマにならない。
ゆっくりと自分時間を楽しめる。
ボクは思った。
こういう場所をサードプレイスというのではないだろうか?
おしゃれでいい雰囲気のカフェだ。
ここはサードプレイスにピッタリのように思える。
だが、惜しい。
このカフェは有名チェーン店で、人気が高い。
今もかなりの混雑っぷりである。
この混雑ぶりは少し落ち着かない。
惜しいけど、だからといってまったく候補から外す必要は無い。
混雑時を避ければ問題無くサードプレイスになりそうだ。
他にもこんな場所があるかもしれない。
ボクはサードプレイスの候補を探すことにした。
サードプレイスの条件
ボクが求めるサードプレイスの条件とは一体何なのだろう。
ざっと書き出してみた。
- デスクとイスがある
- 空調設備がある
- コーヒーがお手頃価格で飲める
- 家から近い
- なんか落ち着く
ボクの自分時間は基本的に執筆か読書か考え事だ。
デスクとイスは絶対いる。
さらに集中するためには外気温と同じでは話にならない。
空調設備は大事だ。
そして、自分時間に欠かせないもの。
ボクの場合、それはコーヒーだ。
コーヒーの銘柄にこだわりは無い。
でも、なるべくおいしいコーヒーがいい。
そのコーヒーがあまり高くても困る。
だからと言ってドリンクバーは論外だ。
個人的にあのコーヒーはあまり好きではない。
家から近い件についてもっと具体的に言えば、キーワードはママチャリだ。
ママチャリというありきたりな自転車で余裕で行ける範囲内であってほしい。
電車やバス、車などを使うような場所ではダメだ。
ボクのような面倒くさがりは行きたくなくなるに決まっている。
そして、一番最後の条件 「なんか落ち着く」
これは説明のしようがない。
100%その時のボクの気分だからだ。
ここまで条件を整理するとカフェくらいしかないかもしれない。
サードプレイス探しの旅は自然とカフェ巡りになった。
ファストフード店だって立派なカフェ
朝8時30分。
ボクは相棒のママチャリと一緒に出発した。
最初に目指したのはとあるファストフード店。
9時くらいにオーダーして、席に着いた。
読書する前に友達からのメッセージをスマホで確認する。
メッセージの内容に考え込んだり、ちょっと笑ったりしているうちにオーダーしたものが届いた。
アイスコーヒーとよくわからないポテトの何か。
ストローが無いな・・・。
店員さんを呼ぼうとして思い留まった。
よく見るとカップに付いているフタにストローを挿すところが無い。
そうか、直接口をつけてのむタイプのヤツか・・・。
ひとり言を言いながら納得していた。
時間帯のおかげなのか、周囲にあまりお客さんはいない。
ボクのくだらないひとり言を気にする人はいない。
なんとなく落ち着く空間になっていた。
ファストフードだからって侮るなかれ。
この時間帯は立派にカフェになっているじゃないか。
アイスコーヒーだってお値段お手頃でおいしい。
ボクはここでしばらくアイスコーヒーを飲みながら読書した。
読書時間の終わりは突然やって来た。
寒い・・・。
空調が効きすぎている。
ボクは念のために持ってきた上着を羽織った。
それでもまだ寒かった。
少々名残惜しかったが、一番目のサードプレイスを後にした。
線路沿いを走る
ファストフード店を背にしてママチャリを押しながら目の前の道を見ていた。
こんな道、あったかな?
最近、この周辺はやたらと工事していたのでよくわからなかった。
真新しい感じで舗装された道ができている。
もと線路だったところが高架になっていた。
ボクは新しい道を元線路があった高架沿いにママチャリを走らせた。
行く先がずっと青空。
今日も熱中症注意報が出ているが、風が心地いい。
途中、新しい公園ができているのが分かった。
サードプレイスを探す旅だけど、こんな風に新しい何かに出会えるのもいい。
気になる定食屋さん。
懐かしいボーリング場。
更地になってしまったスーパーの跡。
どれもこれも楽しくて仕方がない。
カフェを探すのを忘れてきょろきょろしながら走った。
これも旅の醍醐味なのかもしれない。
こんな風に風景を楽しみながらママチャリで走り続けた。
電車の高架沿いを二駅分走ってしまった。
アーケード街のカフェ
自転車で二駅超えて、たどり着いたのはアーケード街。
昔ほどの盛況さは無くなってしまったが、まだちらほらとお店は残っている。
その中に一軒のカフェがある。
何回か来たことのあるカフェ。
雰囲気がいいし、コーヒーがおいしいので好きな店でたまに寄っている。
問題は価格帯がやや高めなこと。
あとはいつ来てもお客さんが少ないこと。
心配で応援するつもりでついつい来てしまう。そんな店。
ボクが店に入った時、今日もいつも通り誰もいなかった。
普通に席についていつもの一番安いコーヒーを注文。
本を開こうとして、店員さんに言われた。
「当店でドリンクのみの場合、お時間90分です。」
前来た時はそんなこと言われなかった。
もちろんコーヒー一杯で90分もいないけど。
この一言でなんだかとても居心地が悪くなった。
それに見ているとお客さんがどんどん入って来る。
以前より客足は増えているようだ。
長居する気は無いとはいえ、コーヒー一杯飲みながら読書する雰囲気ではなくなった。
落ち着かない。
コーヒーを飲み終えるとボクは早々にこの場を立ち去ることにした。
お客さんが増えて来て、ボクが席を取っていることが申し訳ない気になったからだ。
さっきの「90分」が少しうるさく感じた。
ボクが応援しなくてもお客さんは来てるみたいだ。
別にボク一人がこの店に来てどうなることも無いのだけど。
この店に来ることはもうないだろう。
なんとなくそう思った。
ドーナツショップ 癒しの空間
時間はあともう少しで正午。
通り道にあった定食屋さんで昼食を済ませた。
ボクの旅はさらに続く。
駅の近くにあるドーナツショップに立ちよった。
たまに来るお店だ。
コーヒー一杯のつもりだったがついドーナツも注文してしまった。
席に座って、コーヒーを飲みながら読書した。
他のお客さんが話すざわめき。
入口の自動ドアが開くたびにくる外気の熱風。
全てがBGMと混ざり合って何故か落ち着いた。
何故かは全くわからないけど居心地がいい。
キリの良いところまで読み終えて本をバックに入れた。
コーヒーをお代わりできるシステムだが、今日はここまで。
セルフの下膳棚に食器を下げた。
店員さんに心からごちそうさまを言って店を出た。
いつ来ても落ち着く安定の居場所だった。
サードプレイスは一つじゃない
家路の途中、踏切で待たされた。
電車が通過する時に、モロに熱風を浴びた。
踏切を渡ってママチャリにまたがった。
そのまま、家に向かって走り出す。
相変わらずいい天気だ。
さっき熱風を浴びせられたせいだろうか?
いま、ママチャリを走らせて感じる風がなんだか心地いい。
青空の下で、ボクが考えていたのはこの旅の結論だった。
サードプレイスは見つかったかい?
自分で自分にした質問の答えはこれだ。
見つかったよ。今日は2カ所。
サードプレイスが一つじゃないといけない理由なんてどこにもない。
どこが一番ではなくて、いろいろあっていい。
その日の気分で行先を変えればいいのだ。
なんなら、今日みたいにカフェをハシゴしたっていい。
それにママチャリの行ける範囲で、ボクの知らないサードプレイスはまだまだあるはずだ。
今日はもう、暑いし疲れたので帰る。
でも、サードプレイス探しはまだ終わっていない。
次は大通りを北上してみようか?
図書館の辺りをぶらついてみようか?
この旅はまだまだ続きそうだ。
最後にお願いです。
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