投稿 読書 エッセイ

不発だらけの小さな冒険 釣れず、歩けず、カフェは休み

計画の全部が上手くいかない日。

久しぶりにそんな経験をした。

真夏の朝から昼にかけて釣りとハイキング。

暑い中、山の中をさまよって得たのは

上手くいかない楽しさもあるな

という気持ちだけだった。

だけど、それでいい。

その日、ボクは一日それで満足だった。

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冒険の始まり ダムの景色から気になる道が

あの道、何だろう?どこにつながっているんだろう。

以前、ドライブでダムまで行った時のことだ。

ボクはダムの上から見える絶景の中から一本の道を見つけた。

気にしなければ大したことはない。

風景の一部だ。

だけど、あの道がどうしても気になる。

どこにつながっているのだろう?

その日は家族と一緒だった。

この後予定があるのでその道まで行けなかった。

だが、必ず行ってやる。

そう自分に誓ってその場を後にした。

思えば、これがボクの小さな冒険の始まりだった。

可能性に賭けてみよう

以前、そのダムから下ったところにある公園で釣りをしたことがある。

その公園はすぐ側に川が流れていて、水遊びや釣りができた。

家族連れなんかが来て楽しむ憩いの場になっている。

あの道はたぶん、その公園とつながっているかもしれない。

遠くから見た感じ、あの道はしっかり整備されていて登山道というよりもハイキングコースのように思えた。 

もし、川沿いの公園とダムから見えた道がつながっているなら?

釣りとハイキングが同時に出来るかも

ボクにとってそんなコースは初めてだ。

普段なら釣りは釣り、登山は登山だった。

どちらもボクの大好きな趣味で常々思っていたことがある。

嗚呼、釣りと登山がいっぺんにできるコースは無いかな?

もし、ボクの仮説が正しければそんなコースが実現するかもしれない。

ダム周辺のことを調べてみた。 

しかし、わからなかった。

ネットではキャンプ場や釣りをした公園のことなど、周辺施設のことはでていた。

しかし、ハイキングコースのことはでていなかった。

家族とドライブに行ったあの日、ダム湖近くの売店で店員さんにインタビューしなかったことが悔やまれた。

ボクはもう一度あの釣りをした公園の事を考えてみた。

以前、その公園で釣りをした時にはまだ公園そのものは未完成で工事中だった。

もしかしたら、完成したあとでハイキングコースが出来たのかもしれない。

仕方ない、可能性に賭けよう

以前行った公園とダムの上で見たあの道。

この二つがどこかでつながっているという可能性に。

ボクはとにかく行ってみることにした。

釣り できない

ボクはある夏の日に冒険に出発した。

山の中で涼しい川のせせらぎ。

暑いけどマイナスイオン爆上がりのハイキングコース。

ワクワクが止まらない。

ワクワクしていて昨夜はあまり眠れなかった。

そわそわしながら朝8時に家を出た。

もう既に暑い。

車のエアコンをガンガン効かせて山道を走る。

40分後には例の川沿いの公園に立っていた。

まずはここで釣りをする予定である。

だが、釣れない・・・。

正確には釣りをすることが出来なかった。

まだ、朝の8時半を回ったころだというのに家族連れでいっぱいだった。

それぞれの家族が川遊びに興じている。

中には大きな犬を連れて来て、川で水浴びさせている人たちもいる。

こんな中で釣り糸を垂れるのは迷惑以外の何物でもない。

仮に釣り糸を垂れたとしても川遊びをする先客たちに魚は警戒しているだろう。

ボクは釣りを断念せざる得なかった。

もしかしたらハイキングコースの途中で釣りが出来るところがあるかもしれない。

まだ、希望を捨てないことにしてボクは川の公園を後にすることにした。

ハイキング 道が無い

釣りはとりあえず出来そうにない。

それでは、ハイキングコースの入り口を探そう。

そう思って川沿いを公園の奥に向かって歩いて行った。

ほどなく行き止まりとなった。

立入禁止の看板がある。

道はあるがどうやらこの先は私有地と管理地であり関係者以外立入禁止らしい。

他に道らしいものはない。

ダメだ、ここじゃない。

ハイキングコースの入り口はここではないのだ。

私は再び車に乗り込んだ。

これからダムへ向かって走る。

途中に入口があるかもしれない。

なるべくゆっくり走った。

途中キャンプ場にも寄った。

一旦、車を降りてキャンプ場内をさまよった。

あるかどうかも分からないハイキングコースの入り口を求めて。

かなり怪しいおじさんだと自分で自覚がある。

キャンプ場の管理人からしょっ引かれる前にここを離れた。

当然、入口なんて見つからない。

また、車に乗る。

ダムへ向かって走った。

途中、あるかもしれない入口を探しながら。

そして、気がつけばダムの駐車場に着いてしまった。

もう一度ダムの上から

おかしいなぁ。下からの入り口がない。

独り言をぶつぶつ言いながら、ボクは車を降りた。

さっきより涼しい。

遮蔽物が無いからか風が強くて心地いい。

汗をぶっ飛ばしてくれる。

しばらく風を感じていたが他にすることも無いのでダムの駐車場からダムの上まで歩くことにした。

ダムの上は散歩ができる遊歩道になっている。

ぶらぶら歩いているうちに、前に家族と来て一緒に景色を眺めた位置に来た。

相変わらず絶景だった。

あの時と同じように道が見える。

ボクがハイキングコースと勝手に認定したあの道だ。

幻なんかじゃない。

確かにそこにある。 

その時、閃きがボクを襲った。

下からがダメなら上から行けばいいじゃない。

ダムから歩いて隠れ道

下からの入口は今のところわからない。

では、上からの入口はどうだろう?

ここから見えるあの道は途中から茂みに覆われていてわからない。

でも、少なくともこの近くのどこかに。

ダムに来るまでの車道の脇などに実は上からの入口があるのではないか?

可能性はある。

ゼロじゃない!

ボクは足早に駐車場に戻った。

車の中でもう一度装備を確認する。

トレッキングシューズの上にレッグガードを着けた。

手にグローブをハメる。

水はまだ十分残っている。

行動食もある。

リュックを背負った。

行こう、ゼロじゃやない可能性に賭けて!

歩いて駐車場から出発した。

さっき車で登ってきた道路脇の歩道を今度は下っていく。

違う、ここじゃない。

そんなことを数回つぶやきながら降りていくと・・・。

あった!

道の床材がダムから見たそれと一致しているように見える。 

多分これだろう。

両脇から茂る樹木が天然のカムフラージュになっている。 

これは車で通っても見過ごすわけだ。

とにかく、上からの入口は見つかったと思われる。

行こう。

ボクは隠れ道に入った。

立入禁止区域

茂みをかき分けて歩いていく。

夏は草も虫も元気がいい。

特に虫はデカい。

さらに見るからヤバそうなやつもいて怖い。

怖いよう。

だが、今はそんなこと気にしていられない。

この道がどこに続くのか?

途中で釣りはできるのか?

確かめずにはいられないのだ。

10分程歩いただろうか?

どうやら一度下り切ったらしい。

さっきはダムの上から絶景を眺めた。

今は目の前にダムがそびえ立っている。

下から巨人を見上げるように、ボクはダムを見上げて言葉を失った。

道はさらに下に向かっていく。

この先は舗装道路になっていた。

ダムの真下からスタートしているので当然、川の側を歩いている。

だが、川には近づけなかった。

侵入を拒否するように厳重なフェンスによる完璧な防御がある。

ここでも釣りはあきらめるしかない。

釣りはダメでも道がどこへ続くかはどうしても確認したい。

大人しく道なりに下っていった。

そして・・・・。

見覚えのある場所に出た。

柵がある。簡単にまたぐことができた。

そして、振り返った。

そこにあるのは、さっき侵入を諦めた立入禁止の看板。

看板を背に見覚えのある風景を見る。

釣りをすることが出来なかった川沿いの公園だった。

なんてことだ!

心ならずもボクは立入禁止区域を逆に侵入してしまったらしい。

カフェで休憩 休みだった

ボクは立入禁止の看板を横目に見ながら、柵をまたいでもと来た道を引き返した。

そうするより他に道がないからだ。

立入禁止区域なのだからハイキングコースであるわけがない。

上からは立入禁止では無いのに下からは立入禁止なのが何故なのかはわからない。 

もう考えるのはやめだ。

上にあるダムの駐車場に戻ることだけ考えよう。

そう思い定めてひたすら登るボクに景色をみている余裕はなかった。

やっと駐車場に戻った時には10時半くらい。

実はこのダムの近くには売店があり、カフェが併設されている。

せめて、そこで休んで行こう。

車の中でエアコンをつけて体を休めながら11時の開店を待った。

11:00

カフェが開く気配が無い。

「休業」の看板は全くない。

ネットで調べてみた。

休み、不定休とある。

うむ、どうやら休みのようだ。

この瞬間、ボクの気持ちは決まった。

よし、帰ろう!

車のエンジンをかけるとボクは山道を物も言わずに下っていった。

上手くいかない楽しさ

家に帰りついた。

家族からは

「帰りが随分早かったね。」

と、驚かれた。

山で弁当を食べてゆっくり帰ってくる予定だったのだから当然の反応だろう。

お腹が空いたのでお昼にした。

行く途中、コンビニで買って持ち帰ってしまったおにぎりをそのまま皿にのせる。

玉子焼き、ウィンナー、ほうれんそう、フリーズドライのみそ汁。

自分なりに今ある有り合わせでご苦労様メニューを作って、遅めのランチにした。

疲れているせいなのか、ただただおいしかった。

その後は部屋で大の字に寝転んだ。

睡魔が襲ってくる。

とにかく疲れたので、このまま昼寝をするつもりだ。

それにしても・・・。

今日はどれもこれも上手くいかなかった。

釣りは家族連れの混雑でできない。

ハイキングコースは上から規制は無いが、下からは立入禁止だった。

ダムの近くにあるカフェは休業していた。

そもそもネットでの事前調査が全くできない状況で、可能性に賭けた冒険だった。

そして、ことごとく外れた。

でもね。

まどろみながらボクは思った。

上手くいかないってのも、これはこれで楽しいもんだな。

説明なんてできないけど、なんか楽しいのだ。

釣りが出来なくてがっかりしたことも

立入禁止区域だったことも

カフェが休みだったことも

最後に、家で食べた有り合わせだけどおいしいごはんも

全部楽しい思い出に変わっていく。

ニヤニヤしながらボクは深い眠りに落ちていった。

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  • この記事を書いた人

むにゅひこ

普段は楽しく用務員さんをしているアラ環オヤジです。趣味は釣りと登山、下手な料理、読書、DIY、ソロキャンプです。このブログでは用務員さんの仕事で見つけたDIY、自分が適応障害だった時の経験、趣味のこと、何気ない日常のことなどを雑談感覚で書いています。また、自分がした買い物で「いい買い物をしたな」という情報を積極的にみなさんに発信しています。暇つぶしに雑談を楽しむようなブログがコンセプトです。

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