命日が近いせいなのか?
亡くなった親父との思い出がちらほら思い出されます。
世の中の所謂普通の親父とは少し違った親父でした。
いくつかある親父との思い出から一つ紹介します。
今回は酒豪だった親父の悪ふざけエピソードです。
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冬の雪と春のお銚子
親父は大変な酒豪で自分の酒飲み話なんかよく聞かせてくれました。
その中の一つ、春になると現れるお銚子について。
親父がまだ若い頃なので60年も前の話でしょうか。
場所は雪深い北国の飲み屋。
飲み屋といっても二階に座敷があり、中庭もありました。
まあまあお高い飲み屋だったのでしょう。
そこで若かりし頃の親父と仲間が飲んでいます。
若いのに何で高い飲み屋で飲めたのかは不明です。
恐らく就職していた会社の力も関係していたのかもしれません。
親父たちは結構常連客だったようです。
散々飲み食いしてそろそろお勘定かという頃。
外は暗闇、しんしんと雪が降っています。
寒いのに親父は窓を全開にしました。
そして、中庭に向かって窓からお銚子をポイポイ投げ始めます。
何故か?お察しのいい方はもうお気づきでしょう。
当時、飲み代はお銚子や空瓶の数で勘定してました。
お銚子の色は白。
外の雪も白。
中庭にお銚子を投げ込んでしまえば、後は雪が隠してくれます。
飲み代をちょろまかしているのです。
もちろん、不自然にならない程度に投げ込むお銚子の数は加減します。
そして、若かりし頃の親父達はまんまと勘定を誤魔化すことに成功するのでした。
やがて季節は巡り北国にも春が訪れます。
雪が溶けていくとともに、飲み屋の中庭からは毎年大量のお銚子が姿を現すのです。
思い返してみると 私の考え
春になると庭から大量に見つかるお銚子。
こんなことが毎年あるのに飲み屋の店主は怒らなかったのでしょうか?
これは私の想像ですが、店主さんは全て知っていたと思うんです。
雪深い田舎町で働く若い奴らの悪ふざけを多めに見てやっていた。
少しくらい酒を奢ってやってもいい。
そんなことを思っていたのかもしれません。
こんなこと得意げに話してくれた親父は亡くなって10年以上経ちます。
このお話の舞台である北国の田舎町はさらにさびれてしまっています。
その店はおそらくもう無いでしょう。
親父と悪さした当事者達も生きているかさえわかりません。
そろそろ時効かな?と思いまして。
この場を借りて親父のバカ話を語ってみました。