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掃除のお姐さんはボクを放って置いてくれる 午前のカフェ

気分が落ち込んでいた。

理由はハッキリしない。

家に居たくなかった。

冬の朝は寒い。

でも、そんなことは言ってられない。

とにかく、家に居たくなかった。

だから、あても無く出かけた。

気がついたら近所の図書館に来ていた。

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結局 このカフェに来てしまう

開店と同時に入ったカフェにはお客さんは誰もいない。

貸し切り状態だ。

店員のお姐さんが開店作業をしながらボクを迎えてくれる。

図書館に来たはずなのに結局、同じ施設内のこのカフェに来てしまった。

図書館で興味のある本を検索していて気がついた。

図書館のカード、家に忘れてきた・・・。

だから、図書館を出た。

でも、別にそれが決定的な理由なんかじゃない。

それは口実に過ぎない。

結局、ボクはこのカフェに来たかったのだろうと思う。

カフェはボクにとって、避難所なのかもしれない。

なんとなく気持ちが落ち込んで。

どうしようもなくなった。

そんな時の避難所なのかもしれない。

お姐さんはボクを放って置いてくれる

掃除中のお姐さんに「すみません」と声をかけた。

コーヒーを一杯注文して一人がけのソファーにさらに深くこしかける。

ボクは店員の女性を「お姐さん」と表現する。

年齢に関わらず全てお姐さんだ。

もちろん尊敬の意味を込めて。

お姉さんではない。お姐さんでなければならない。

「姐」という漢字にボクはなんとなしに敬意を感じている。

お客さんであるボクをおもてなししてくれる。

仕事だからもてなしてくれているのはわかっている。

それでもボクはお姐さんに敬意を払いたい。

お姐さんがコーヒーを持って来てくれた。

コーヒーの湯気がカフェの照明を散らかしてくれる。

散らかった照明と、コーヒーの香りを少し楽しんだ。

お姐さんはまた開店作業に戻る。

ボクのことはもう放ったらかしだ。

だが、それがいい。

放って置いて欲しい。

放って置いてくれる時間が欲しかった。

徹底的に放ったらかし

コーヒーを飲んでいたら、遠くからピアノの音色が届く。

施設内の廊下にストリートピアノがある。

今日はピアノの開放デーらしい。

7歳くらいの男の子が一生懸命にピアノを弾いていた。

子供が弾くピアノの音色が店内のBGMになった。

ここで気がついた。

このカフェにBGMが流れていなかった。

BGMさえも放ったらかしだった。

さらにお姐さんがもう一人仕事に入ってきた。

二人の会話がさらにBGMになる。

お姐さんたちはもちろんボクのことを放ったらかしだ。

それがまたいい。

とにかく、放って置いて欲しかったから。

さて 現実に戻りますかね

しばらく、コーヒーとピアノに酔っていた。

放ったらかし空間でついうとうと。

いつしかくつろいでしまったらしい。

これからの生活のこと。

執筆のこと。

キゲンが悪いアイツから避難してきたこと。

全て忘れていた。どうでも良くなっていた。

いつの間にか、ピアノの音が店内の有線BGMに変わっていた。

コーヒーを飲み切ってしまった。

だいぶ日が登って暖かくなっている。

さーて、明日からの食材でも買いに行きますか

ボクは日常に戻るために会計伝票を持って立ち上がる。

レジでお姐さんにお金を払って

「ごちそうさまでした。」

と言ってカフェを後にした。

施設から外に出る。

正午前の冬の日差しが優しい。

「さて、現実に戻りますかね」

誰に言うでもなく、ボクはつぶやいた。

優しい日差しの中をゆるゆると歩いた。

近所のスーパーに向かって。

  • この記事を書いた人

むにゅひこ

前の職場で上手くいかずに適応障害になり、退職。転職して、新しい職場で楽しく頑張っているアラフィフオヤジです。趣味は釣りと登山、下手な料理、読書、DIY、最近ソロキャンプを始めました。このブログでは自分の適応障害の時の経験、趣味のこと、何気ない日常のことなどを雑談感覚で書いています。また、自分がした買い物で「いい買い物をしたな」という情報を積極的にみなさんに発信しています。暇つぶしに雑談を楽しむようなブログがコンセプトです。

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