友達に会いに行く。
明日、10時のフライトの為、9時には空港に着く必要がある。
今夜会いに行っても、すぐに帰って来なければならない。
時間は限られている。
でも今夜会いに行かないと次はいつ会えるかわからない
次は
いつかは
無いかもしれないから。
だから、何がなんでも会いに行く。
ボクはそう決めた。
※ 本ページはプロモーションが含まれています。
アイツがいなくなるということ

今ボクは仕事を終えて車を飛ばしている。
高速道路はだいぶ夕闇が深くなっていた。
目的地は120km離れた地方都市。
そこに友達が待っている。
親友と呼べる数少ない人間の一人だ。
どうしてもスピードが出てしまう。
1年ぶりに再開する。
楽しみしかない。
はやる気持ちを抑えながらボクは思いにふけっていた。
もう一人の、決して会うことができないアイツのことを。
アイツがいなくなった時のこと。
3年前、今回会う友達から突然連絡が来た。
「アイツと連絡が取れない」
ボクとこれから会う友達、そしてアイツの三人。
学生の頃からずっと一緒だった。
親友と言っていい仲だった。
そして、アイツがいきなり消息を絶った。
一週間過ぎた時にまた連絡が来た。
アイツの訃報だった。
つい最近までメールでやり取りしてたのに。
もうアイツはいない?
ホントに?
ある日突然、アイツからメールや電話が来るような気がして。
しばらく連絡先を消せずにいた。
「いつかまた、会えたらいいね」
そんなことを本気でほざいていたあの頃の自分を殴ってやりたい。
今でも、時々そう思う。
アイツがいなくなることでボクはたった一つのことを学んだ。
それは
「いつか」という時は来ない
ということ。
「いつか」が突然やって来た
これから会いに行くその友達は遠くで暮らしている。
会えるのは一年に一度くらいだ。
今年はその一度の日程すら危うい状況だった。
その友達からメールが来たのは1ヶ月前だった。

「来月S市に行くことにしたよ。会えないかな?」
S市は有名な観光都市だ。
彼はS市行ってみたいと以前から話していた。
そして、全く衝動的に航空券とホテルの予約をしたらしい。
S市はボクの住む町から120km離れたところにある。
決して会いに行けない距離じゃない。
だけど・・・。
「おいおい、ちょっと待ってくれよ。」
その日程のあたり、ボクは親戚の結婚式に出席予定だ。
既に航空券だってとってある。
その旨を彼にメールした。
「そうか・・・、やっぱムリだよな。」
彼の返信。
その文面を見てボクは思った。
それじゃあ遠くに暮らす彼とはいつ会えるのだろう?
アイツの死が教えてくれたんじゃなかったのか?
「いつか」という時は来ない。
ボクは彼に会える方法を考えた。
いつかを「今日」にするために。
「いつか」は来ない だから今日にする
親戚の結婚式のために職場に頭を下げて休みをとっている。
この辺りの日程で休みを追加することは正直厳しい。
もちろん、結婚式に出席しないわけにはいかない。
だが待てよ。
丸一日空ける必要なんてない。
彼がくるのは結婚式の前日から三日間。
その間のどこか一日。
その一日の内、数時間でも会えないのか?
一緒に食事して語らう。
そんなささやかな時間くらい取れるだろう?
ボクの心は決まった。
彼に連絡した。
「会おうよ。金曜日、仕事が終わったらすぐこちらを出てS市に向かう。近くに来たらまた連絡する。」
ボクたちの「いつか」は金曜日に決まった。
「いつか」がもうすぐ「今」になる
金曜日。
仕事は定時で上がった。
準備もそこそこ車に飛び乗る。
家族には午前様にはならないと約束した。
この約束で彼とS市で会うのは二時間程度と決まった。
それでも構わない。
次の日の朝はきっと寝不足でつらいだろうけど、必ず朝9時には空港に行ってみせる!
そして今。
ボクは山深い高速道路を走っている。
S市までの道のりはもう既に夕闇を過ぎて漆黒になっている。
ヘッドライトの光すら頼りなく感じる。
それでもボクは走った。
「いつか」という時は来ない
アイツが教えてくれたことを決してムダにしない。
そのために。

山道を抜けた。
S市の街明かりが突然目の前に弾けた。
銀河に向かって進むようにボクの車は走った。
ボクはつぶやいた。
「君が教えてくれたこと、ボクたちはちゃんと守ってるよ」
まもなくS市中央駅付近に着く。
そこに彼が待っている。
ボクたちの「いつか」を「今」にするために。
最後にお願いです。
Xのアカウントをお持ちの方。
この記事をみて、感想などありましたら下のXボタンからつぶやいてみてください。

筆者の励みになります。
よろしくお願いします。